国立研究開発法人日本医療研究開発機構 「令和 2 年度 医工連携イノベーション推進事業」に採択されました
医工連携イノベーション推進事業への採択について
親和工業株式会社では、防曇・防汚効果を持つ内視鏡用フードの実用化を目指し、国立大学法人神戸大学大学院医学研究科(兵庫県神戸市中央区、国際がん医療・研究推進学分野 特命准教授 森田 圭紀、医学研究科長・医学部長:藤澤 正人、以下、「神戸大学」)と株式会社シード(本社:東京都文京区、代表取締役社長:浦壁 昌広、東証 1 部:7743、以下「シード」)と共同でこれまで研究開発を進めてまいりました。
この度、本研究が国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED)「令和 2 年度 医工連携イノベーション推進事業(3年112,667千円予定)」に採択されました。
当事業において、当社は製造、神戸大学はニーズの創出や臨床評価、シードが材料提供および薬事を含む製造管理を担います。
内視鏡診断・治療におけるレンズ汚染による課題
近年、消化管腫瘍における内視鏡診断と治療は、医療技術の進歩によって、内視鏡機器の進歩とともに大きな発展を遂げてきました。これにより、早期の消化管ガンの治癒において、内視鏡による切除で外科手術と同等の治癒が可能となりました。
特に、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が開発されたことにより、従来の内視鏡的切除方法では対応できず、やむなく外科的手術を必要としていた病変に対しても ESD によって切除できるというケースが多くなりました。
この内視鏡を用いる診断や治療では通常、内視鏡先端を保護する目的でフードを装着し、術野が曇りのない状態を維持するために内視鏡のレンズにレンズクリーナーを塗布し防汚処理を行っています。しかし、生体の消化管内においては粘液や血液、脂肪などと接触することが多いため、その効果が持続しないケースも頻発し視界の確保が難しくなってしまいます。
特に、レンズの汚染が著しい場合は一旦検査や治療を中断し、内視鏡を抜去し、洗浄後、再挿入することが必要となるため、検査や治療の長時間化に伴う医師や患者の負担が課題となっていました。
防曇・防汚性能に優れたハイドロゲル(コンタクトレンズ素材)を用いた内視鏡用フードの共同開発
このたび実用化を目指す内視鏡用フードは、シードが長年のコンタクトレンズの素材研究で培った防汚性を有するハイドロゲルを採用し、レンズの防汚・防曇効果と内視鏡先端の保護する機能を有しています。このハイドロゲルを用いた内視鏡用フードを使用した場合、内視鏡による診断、治療の際に視野が不明瞭になった際でも、送水機能で十分な洗浄が可能となるため、内視鏡を抜去する必要がなくなり、検査や治療時間の大幅な短縮が可能となり、患者の負担の軽減にもつながるものと考えられます。
本製品の市場は国内外を問わず、消化管内視鏡を使用する施設全てでニーズがあり、消化管用以外の内視鏡にも適用拡大が見込まれると推察しております。
内視鏡用フードを成形するための樹脂型を、そのための金型を設計・製作する工程から成形加工する工程までを当社では担っております。
具体的にはもともとポンチ絵の状態だった構想段階のものを、お客様より要求仕様をヒアリングした上で製品設計に盛り込み実際の樹脂型まで作り上げていくという形で当社はサポートさせていただきました。
このように当社では、成形工程までを見据えた金型設計・製作の提案力を以て、医療プラスチック製品の共同開発を行っております。それにより今後も国内外の医療の発展に貢献してまいります。
開発体制について
《国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「令和 2 年度 医工連携イノベーション推進事業」 概要》
医療現場が抱える課題に応える医療機器について、日本が誇る「ものづくり技術」を活かした開発・事業化を推進することにより、我が国の医療機器産業の活性化と医療の質の向上を実現することを目的とした事業。
医療現場における課題や輸入超過の一端となる課題(特許等を含め)の解決、事業化が見込まれる課題を戦略 的に選定し、これに対応する医療機器を開発・改良するため、下記で構成される共同体の医工連携によって事業化の 推進を図る。
⚫ 臨床評価や課題に対する有効性評価を担う医療機関
⚫ 事業化を実現するための「ものづくり技術」を有する中小企業
⚫ 製造や販売を見据えて目利きする企業・コーディネーター
⚫ 先端技術を提供・評価する大学・研究機関等